
夏の猛暑が続く中、テント倉庫での作業環境を快適に保つことは、多くの企業にとって重要な課題です。遮熱性の低い構造のため熱がこもりやすく、室内温度が40℃を超えることも珍しくありません。本記事では、そんな過酷な環境でも導入しやすいスポットクーラーを中心に、テント倉庫の暑さ対策について徹底解説します。
CONTENTS
猛暑の倉庫作業をどう乗り切る?テント倉庫の暑さ対策の現状
年々気温が上昇している日本の夏。近年では、35℃を超える猛暑日が珍しくなくなりました。こうした環境下で、工場や倉庫などの作業現場における熱中症対策の重要性はますます高まっています。とくに、コストを抑えて素早く設置できるテント倉庫においては、空調設備の導入が大きな課題となっています。
テント倉庫の構造と暑さの問題点
テント倉庫は鉄骨とシートで構成された簡易的な構造であり、建築コストを抑えながら広い空間を確保できるというメリットがあります。
しかし、その一方で外気の影響を受けやすく、断熱性能や気密性が低いため、夏場には非常に高温になりやすいという欠点があります。とくに屋根や壁が日射の影響を受けやすく、内部の温度が外気温より10℃近く高くなることもあります。
作業環境の安全基準と健康リスク
厚生労働省が発表しているWBGT基準値によれば、作業に適した環境温度は26〜30℃とされています。この基準を大きく超える環境では作業効率の低下だけでなく、重大な健康被害のリスクも高まります。テント倉庫で働く従業員の健康と安全を守るためには、何らかの冷却手段を講じる必要があります。
スポットクーラーの導入による対策
従来の業務用エアコンや空調システムの設置は、テント倉庫の構造やコスト面から現実的でない場合が多いです。そこで、簡易で即効性のある冷却方法として注目されているのがスポットクーラーの導入です。
スポットクーラーは必要な場所に集中して冷気を送ることができるため、効率的な暑さ対策として期待されています。
スポットクーラーの導入メリットとは?コスト・性能・使い勝手を徹底解説
スポットクーラーは、冷風を特定の範囲に直接送り込むタイプの冷却機器で、据え置き型の移動式エアコンのような存在です。最大の特徴は、工事不要で使用できる点にあります。電源さえ確保できれば、コンセントに差し込むだけで即座に稼働可能なため、導入のハードルが非常に低いのが魅力です。
移動性の高さと冷却方式
多くのモデルにはキャスターが付いており、必要に応じて任意の場所に移動させることができます。これは、作業場所が日によって変わることの多いテント倉庫にとって大きな利点です。
冷却方式にはヒートポンプが採用されており、空気から熱を取り除いて冷風を送り出します。高性能な業務用モデルでは2.5kW以上の冷房能力をもち、局所的ながら十分な冷却効果を発揮します。
コスト面の魅力
価格は5万円〜10万円程度と比較的手頃で、業務用エアコンの導入に比べて圧倒的に安価です。さらに、必要な場所だけを冷やすため、電気代も抑えられ、ランニングコストの面でもメリットがあります。
注意すべきポイント
一方で、スポットクーラーは冷風と同時に排熱も発生させるため、閉鎖空間での使用では室内全体の温度が下がらない可能性があります。排熱を外に逃がすための排気ダクトの設置が必要で、設置場所の工夫が求められます。
また、使用中はコンプレッサーの作動音がするため、静かな環境では注意が必要です。さらに、内部で発生した水分はドレンタンクに溜まるため、定期的に水の排出作業も必要です。
空調設備が難しいテント倉庫でもできる!そのほかの暑さ対策を紹介
スポットクーラーは有力な手段ですが、単独使用では限界があります。テント倉庫では、複数の暑さ対策を組み合わせることで、より効果的な温度管理が可能です。
換気による熱気の排出
基本的な対策として「換気」が挙げられます。通風性を高めるために、テント倉庫にオプションでサッシ窓を追加したり、天井部分に換気扇を取り付けたりする方法があります。これによりこもった熱気を外に逃がし、外気との温度差を和らげることで、内部の温度上昇を抑制できます。
遮熱シートで直射日光を遮断
テント生地自体を遮熱機能付きのシートに変更する方法も有効です。輻射熱の侵入を大きく抑えられるため、倉庫内の温度上昇を防ぎ、スポットクーラーや扇風機の冷却効果も高めます。
業務用扇風機との併用で冷気を循環
大型羽根の業務用扇風機を併用すると、スポットクーラーの冷風循環を促進し、体感温度をさらに下げることができます。設置が簡単で消費電力も少なく、低コストで導入可能なのもメリットです。
人的管理も忘れずに
従業員へのこまめな水分補給の呼びかけや適切な休憩時間の確保など、人的な管理体制の整備も不可欠です。総合的な対策で、空調設備が難しいテント倉庫でも快適な作業環境を実現しましょう。
まとめ
テント倉庫はコストや設置のしやすさが魅力ですが、夏の高温対策が課題です。大掛かりな空調は難しくても、スポットクーラーや業務用扇風機、換気設備、遮熱シートを組み合わせることで、安全で快適な作業環境を作れます。スポットクーラーは低コストで設置も簡単、移動も自由ですが、全体冷房には不向きなため、ほかの対策と併用が必要です。猛暑が続く中、従業員の健康と業務の効率化のために、積極的な暑さ対策を検討しましょう。