企業が継続して事業を発展させるには、適切な設備投資をすることが重要です。そのため中小企業の経営力の強化や投資をサポートするための、中小企業経営強化税制という制度があります。この記事では、中小企業経営強化税制および即時償却の概要や、利用できる対象者・設備、利用する際の流れについてくわしく解説します。
中小企業経営強化税制の概要
国から認定を受けた中小企業を対象に、設備投資をする際に税制優遇を受けられる制度です。設備投資により企業力を強化でき、生産性の向上を後押しする目的で設けられました。設備投資を行いながら節税できるので、資金が限られている中小企業にとって魅力的な制度です。
制度を利用するには、設備の取得前に経営力向上計画の認定が必要になります。設備投資後では税制優遇が受けられないので注意しましょう。また、中小企業経営強化税制は、4つの類型に分けられるので、それぞれの概要について解説します。
A類型の生産性向上設備
一定期間内に販売されたモデルおよび、旧モデルと比べて年平均1%以上指標が上昇した設備であることが条件です。ソフトウェアに関しては、情報収集機能および分析・指標機能を有するものであることが必要です。これらの条件に満たしているかどうかは、証明書で示さなくてはいけません。
B類型の収益強化設備
年平均の投資利益率が5%以上になることが見込まれることが条件です。経済産業局の確認を受けた投資計画に記載されている、投資目的を達成するために必須な設備であることを証明する必要があります。
C類型のデジタル化設備
事業プロセスの遠隔操作・可視化・自動制御化のどれかを可能にする設備であることが条件です。
D類型の経営資源集約化設備
経営資源集約化に資する設備であることが条件です。おもに、自社と取得した技術を組み合わせた新製品を製造するための設備投資や、製品の販売に関する共通システムの導入や原材料の仕入れなどが挙げられます。
利用できる対象者・設備
利用できる対象者と設備についてくわしく見ていきましょう。
利用できる対象者
中小企業者であること、特定事業者であることが条件です。中小企業とは、資本金または出資金が1億円以下の法人であること、資本または出資を有さない法人のうち、常時使用する者が1,000人以下の法人であること、常時使用する者が1,000人以下の個人、協同組合であることなどが条件です。
法人形態としては、会社や個人事業主だけではなく、企業組合や教養組合、事業協同組合なども対象になります。医療法人や社会福祉法人も対象ですが、いずれも従業員の数が2,000人以下であることが条件です。多くの事業者が対象となっているので、設備導入を行う際には、積極的に活用したい認定制度です。
利用できる設備
機械装置・工具・器具備品・建物附属設備・ソフトウェアが対象です。それぞれ用途や最低価格が定められてあり、A類型の生産性向上設備に関しては販売開始時期も定められています。
また、生産等設備を構成するものでなくてはいけません。事務用器具備品や本店に関する建物附属設備は対象になりません。新品であること、貸付資産でないこと、国内の指定事業用に供されるものであることなどの要件もあります。
中小企業経営強化税制を利用する際の流れを紹介
各類型によって手続きの流れが異なります。それぞれの類型について、利用する際の流れを紹介します。ぜひ参考にしてください。
A類型の生産性向上設備
設備を生産しているメーカーを通し、要件を満たしていることを示すために、証明書を取得します。さらに経営力向上計画を作成および提出し、設備を取得することで税務申告時に優遇を受けられます。
B類型の収益力強化設備
導入する設備の投資計画についての必要書類を、公認会計士または税理士から事前確認を受けます。確認後は、経済産業局の認定を受けましょう。さらに経済力向上計画を作成および提出し、設備を取得することで税務申告時に優遇を受けられます。
C類型のデジタル化設備
導入する設備の投資計画についての必要書類を、認定経営革新等支援機関から事前に確認を受けます。確認後は、経済産業局の認定を受けましょう。さらに経済力向上計画を作成および提出し、設備を取得することで税務申告時に優遇を受けられます。
D類型の形成資源集約化に資する設備
導入する設備の投資計画についての必要書類を、公認会計士または税理士から事前確認を受けます。確認後は、経済産業局の認定を受けましょう。さらに経済力向上計画を作成および提出し、事業承継を行ったあと、設備を取得することで税務申告時に優遇を受けられます。
まとめ
中小企業経営強化税制・即時償却について解説しました。設備投資をとおして企業の生産性が向上し、競争力の強化を支援する重要な制度です。さらに法人税や所得税の節税効果も得られます。ただし、制度を利用するためには条件があり、申請するための事前準備など留意すべき点が多くあります。さらに各類型によって利用する流れが異なるので、注意しなくてはいけません。そのため、必要書類の準備や申請の進め方など、事前にしっかり理解しておきましょう。